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旅立つ息子へのpenguinwhipperのレビュー・感想・評価

旅立つ息子へ(2020年製作の映画)
3.2
もうなんかとっても歯痒いストーリーだった。

『旅立つ息子へ』っていうタイトルだけども、精神的に旅立たなければならないのは(子離れしなければならないのは)父ちゃんのほうじゃないのか、と思ったり。

自閉症の息子を施設に入れないようにするがために奔走する父。なんていうか…父親の息子への依存度が高すぎてちょっと静視するのがつらかった。我が子を守りたいからこそ全てを投げ打ってでも必死に我が子のためにいろいろやってしまう親のある種の「己の正義心からくる暴力さ(わがままさ)」が周囲の人間を振り回して、さらに我が子の精神の成長すらをも止めてしまうの。でもそれって結果的に共依存になってしまってあまり良い結果にならないんだよね。愛が強すぎるがための暴走とでも言おうか。

・父親のエゴが強すぎてなんか歯痒い
・息子役の人の演技すごい
・ヒューマニズムに訴えるのはわかる、けどなんかシンドイ
・父親と息子のロードムービーという視点で観るといろいろ納得

ラストで息子が施設に入り周囲に馴染み始めた様子を認識した父親のなんとも言えない顔が、もう父親のさみしさや息子の成長を願いつつもめちゃくちゃ複雑な心情を描いていた。

登場人物の誰の視点に寄り添うかで、感想が変わるかなと思われる。

愛が重いと、いろいろと心情的に閉ざしてしまったり見えなくなってしまうことって多いよね、って思った作品だった。守りたいものをずっと己の傍らに置き続けることは難しいことなのだから。

親子関係に問題を抱える人が観たらなんらかのヒントになるものがあるかもしれない、、、と思った。
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