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パリ、夜の医者のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

パリ、夜の医者(2020年製作の映画)
4.0
[サフディ的パリの一夜] 80点

カンヌ・レーベル選出作品。前作『アナーキスト 愛と革命の時代』はアデル・エグザルコプロスやタハール・ラヒムといったキャストのおかげもあってか日本公開されており、なぜか私も観に行ったのだが、あまりにも凡庸だったので中身はほぼ覚えてない。次作となる本作品では、現代フレンチコメディに必要不可欠となったヴァンサン・マケーニュが麻薬中毒患者に寄り添う夜間訪問医師を演じている(今更ながら、カンヌレーベルに三本も出演してるのか)。麻薬中毒患者に処方している薬が転売されているのを知りながら、それでも手を差し伸べようとしつつ、蔑ろにしていた家族のことも考えつつ、自身を"ビジネス"に引っ張りこんだ従兄弟についての考えを巡らすという一夜の物語である。様々なイベントが複雑に絡み合った一夜ものということで、なんとなくサフディ兄弟の特に『グッド・タイム』を思い出す。パーティ会場やクラブのネオンライトはオマージュか?色々絡めすぎて忙しすぎるし、その情けなさを別方向に発揮するヴァンサン・マケーニュ一人で成り立っているような気もするが、それだけでも十分に面白い。カンヌレーベル、久々の当たりです。
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