このレビューはネタバレを含みます
切ない青年の恋愛物語。ボートの転覆から助けられたら、男女でも当然、恋に落ちる流れ。男の子同士なら友情かと思ったけど、こっち路線だったのか〜。結末はそれぞれ違うけど、『君の名前で僕を呼んで』の叶わない恋や、『ある少年の告白』の親子愛などを思い出しました。恋に落ちて世界が変わる瞬間から、一気に駆け抜ける青春、主人公の言葉を借りれば最悪の始まり。
主人公アレクシが光GENJIの佐藤アツヒロみたい？ダヴィドに誘惑されて、戸惑いを覚えつつも、拒むことはせず、どんどん惹き込まれていく従順な様子、視線の落とし方や、説き伏せられる様子から、なんとなく誰かに似てる…と連想してしまいました。
まさか死んでしまうとは思いもせず、誓いをこんなに早く果たさなければなければならないなんて皮肉なものです。ダヴィドの浮気が原因なのに、葬儀に立ち会うことも許されず、「あなたのせい」とお母さんに拒絶されるところが痛々しい。お母さんにしてみれば、旦那さんを失ってまもなく、息子を失くしたわけだから、そんな風になっても責められないけど、アレクシもお母さんも本当に可哀想。
アレクシに声をかけてきたケイトがさりげなく、よい役回り。ダヴィドに流れた時はどうかと思ったけど、死体安置所へお忍びで行く時に、アレクシの女装を手伝ったり、アレクシの相談相手になったり。全てを打ち明けられても、ドン引きせずに友情を育んでいて、謎過ぎるくらい。アレクシの回想録シーンと、ダヴィドとの現在進行形恋愛のシーンが交互に流れるけど、切り替わりが分かり易かったです。裁判までアレクシの書いた小説の朗読でつないでいて、新たな出会いにダヴィドとの思い出も絡んでいて、流れがスムーズ。よく出来た作品だな〜と思います。
