アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞したデンマーク映画。
家庭生活は険悪でこそないもののマンネリ、仕事もパッとしない冴えない高校教師の主人公マーティンが、友人かつ同僚の仲間たちとともに「血中アルコール濃度を0.05%に保つ」ことで人生が上向く、という説を検証しようと実験に挑むストーリー。
マッツ・ミケルセン主演作品だから映画館で観たかったのに、私の住む地方では上映なかったんだよなあ…… オスカーも獲っている作品だし、これは劇場で観たかった！
設定はほぼコメディ、展開も上手くいくところいかないところ含め、コメディっぽい。が、それだけではないヒューマンドラマ。
いわゆる「中年の危機」をテーマにしているので、大人が観た方が刺さると思う。
変化のない毎日やうまくいかない仕事が、アルコール実験の効果で上向く…… けれど、ずっと上手くいくはずもなく。
夫婦関係をはじめ、望まぬ変化や痛みを味わったマーティンが辿り着くラストが何とも清々しくて好き！
（そして視点を変えると別の意味にも取れるのが秀逸。）
教え子たちの卒業と重ねた演出、妻との初々しいメッセージのやり取り、そしてラストのダンスシーンと、観終わるとまたすぐに繰り返し観たくなる完璧なラストだったと思う。
元バレエダンサーでもあるマッツ・ミケルセン、映画で本格的にダンスを披露するのは初らしい。
踊る必然性と、踊ることでしか表現できない心情を組み込んだ脚本も見事。
うまくいかないことも含め人生に賛辞を送り暗闇と向き合うような、ヒューマンコメディドラマの傑作。
オスカー受賞納得！の作品だった。
