kou

スパイの妻のkouのレビュー・感想・評価

スパイの妻(2020年製作の映画)
4.0
黒沢清監督。ヴェネチア国際映画祭において、銀獅子賞(監督賞)に輝いた本作。黒沢監督の教え子である濱口竜介と、野原位が共同脚本を務めているのも注目したい。黒沢監督の映画にしか出せない空気感やセリフ、見ている間「やはり最高」と思わざるを得ない。

黒沢監督は映画は人の人生を変えるという事をたびたび答えている。まさに本作では「映画」、「フィルム」が登場人物たちの人生を変える。それを見ることによって生き方を変えざるを得なかった人々が出てくるのだ。これが面白いと思った。

また、夫婦二人の初めの世界の違いも面白い。聡子は完全なる嫉妬、私的な思いから行動をしていくのだ。そして騙しあいをしていく。この展開の見事さ。いくつもの気づきを経て変化していく世界を描くのは黒沢監督作品ならではだ。その先は狂気ともとれるのだが。

脚本と監督のマッチングも絶妙。そして蒼井優と高橋一生の演技も素晴らしい。とても黒沢監督作品の多くの要素を含んでいる作品だと思う。素晴らしかった。
kou

kou