ヨダセアSeaYoda

スパイの妻のヨダセアSeaYodaのレビュー・感想・評価

スパイの妻(2020年製作の映画)
3.9
"私にとって、あなたはあなたです。"

オンライン試写会にて。

【STORY】
 時は太平洋戦争直前。
 夫・優作に隠された正体があることに気づき始めるも蚊帳の外の妻・聡子は、優作と同じ物を背負いたいと願うが…


【一言まとめ】
●正義の追求と葛藤
●疑心暗鬼、途切れない緊張感
●緊張感にしては展開は少々刺激不足?
● "ヤバい目" がみんな最高
●色々なズレに少しずつ違和感はあった


【感想】
 残酷な真実を知った者が、孤立無援の状況で自分の信じる正義に向かって動く。
 狂気的なまでの正義の追求、そして本当に正しいのか?正しかったのか?という葛藤が常に描かれていました。

 誰も信じられない疑心暗鬼な状況がスリリングで、常に「どうなるんだろう…」とドキドキさせられました。
 …にしては、少々尻すぼみで刺激不足だった気もしますが。笑


 1人で自分だけの "正義" を抱え込む男を演じる高橋一生、狂気的な感情の起伏と執着を見せる妻を演じる蒼井優、戦争で変わってしまった軍人を演じる東出昌大。
 全員が違うタイプの狂気を帯びていて、"ヤバい目" がみんな凄かったです👁
 "狂わないという時点で狂ってる" という表現がとても好き。


 違和感があった点でいえば、喋り方の変化によって "入ってこない" と感じた瞬間は何度かありました。
 シリアス風の映画にしてはずいぶん演劇的で大袈裟な話し方が多かったり、だからといってずっとそうだというわけでもなかったり。
 感情の起伏と一緒に作品自体の雰囲気まで起伏するので、そこは個人的にはちょっと居心地悪かったかもしれません😅


 女性像の描き方・演じ方には結構苦労したんだろうな…と思いました。
 描く時代を反映させるためには避けられない、(時代遅れな) "良妻" のイメージと、現代に通ずる "強い女性" 像との間でバランスを取ろうと努力したような雰囲気を強く感じます。
 その結果、聡子(蒼井優)の人格が幾重にも張り巡らされているように感じ、悪くいえば "違和感" とも取れるのですが、良くいえばそれが "狂った感情の起伏" を引き立てているようにも見えました。

 楽しそうにピョンピョンしてる蒼井優は可愛いかったです。


 ノスタルジックな世界がとても好きなので、セピアなカラーリングや時代を感じさせる街並み・服装にかなり引き込まれました。


 話の大筋とは離れますが、"あなた方の普通が、誰かにとっては批判や攻撃や主張と映る。今はそういう時代です" というセリフに対しては "戦後70年以上経った今もです😅" と思いました。笑

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観た回数:1回
直近の鑑賞:オンライン試写(20.10.01)
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