ジャイロ

The Monkey's Paw(原題)のジャイロのレビュー・感想・評価

The Monkey's Paw(原題)(1948年製作の映画)
3.5
長男が「タヌキ許さない、タヌキ許さない」ってずっと言ってるから事情を聞いたら、なんでも悪徳タヌキに金を借りたせいで住宅ローンの返済に苦しんでいるんだとか。カブで儲けた金もむしりとられたと言うし、なにこれ、あつ森怖い

((( ;゚Д゚)))


『猿の手』


これ実は私的にタヌキよりも怖いです。アップで見ると手に毛が生えてるし、結構フサフサだし何考えてるか分からないし、とにかく気味が悪い。この手のやつを家に置くのはちょっと御免被りたい。

この映画は、とどのつまり迷信を信じますか?ってことです。「夜に爪を切ると親の死に目に会えない」だとか「しゃっくりが100回続けば死ぬ」だとか「黒猫が前を横切ると不幸が訪れる」とか、そういうの。

私なんかは毎日黒いヤツに横切られてるから、そんなこと日常茶飯事になりすぎていて、逆に黒いヤツを横切ってやったりなんかしたりして、もはや今日はどっちが先に横切ってやろうかって勝負しながら毎日生活している訳ですけれども、迷信、あんまり信じてないかもです。

※黒いミニチュア・ダックスフンドがいます。

さて、このいわく付きの猿の手、胡散臭いなあ。実に胡散臭い。願いが叶う?本当に?信じるか信じないかは、あなた次第かもしんないけれど、これ、ドラゴンボールですね。願えばそれは何でも叶う。しかも三つも。

うん

ナメック星のやつですね

間違いない

きっとポルンガが出てくるに違いない

デンデも言ってましたよね

タッカラット ポッポルンガ プピリットパロ

って

でもそんなの唱えてもポルンガは出てこないんです

仕方ないよね

猿だし

タダで願いが叶うなんて、そんなに世の中甘くありません。この願い、リスクを伴うんです。

願いは叶えられた

だが、避けられぬ悲劇が訪れるであろう

フハハハハ…

とか言う青いキャラクターが出てきてもおかしくないけど、そんなの出て来なくて代わりにヘビみたいに動くんです。手が。

うわあああ…

みんな

うわあああ…ってなります。

仕方ないよね

猿だし

古いイギリス映画。俳優さんたちが実に馴染みがない人たちばかり。でも奥さん役のメグス・ジェンキンスさんの存在感は抜群でした。きっとひとかどの女優さんに違いない(失礼)。

前フリだらけの前半は、ああ、これフラグ立ってる…って分かるんです。読める。私にも展開が読めちゃう。古典なのでしょうがないのでしょうけれど、もう一捻り欲しい所はある。

とはいえ、この物語は実に悲しいんです。人間の弱さを描いている。そう、人間は弱いものです。頭ではそれはダメだと分かっていながらも、心はどうしようも出来ない。願ってはいけない。でも願わずにはいられない。その存在自体が悪魔の誘惑になってしまう、そんなものは家に置いておかない方がいいんです。

猿だし

この映画、ラスト5分の異様な雰囲気は鬼気迫るものがありました。実に良かったです。

原作は、イギリスの小説家ウィリアム・ウェイマーク・ジェイコブズの怪奇小説、名作「猿の手」

カフカの「変身」で主人公が変身した「虫」はいったいどんな「虫」だったのか、そのイメージは小説を読んだ人によってそれぞれ異なるように、この映画のラストのアレも、いったい何だったのか、アレコレ考えるのもまた楽しいですね。この余白が、この物語の楽しみ方のひとつなんでしょうね。