Ltechnique

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのLtechniqueのレビュー・感想・評価

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IMAXのキャッチってもうちょっとかっこよくならんのかな。

久しぶりのキャナル。
作画の限界に挑戦した結果、人間の視力の限界を超える情報量となった超絶作画。
変わりもんがコツコツ作るアートアニメを湯水の如く金を使って、ハリウッド娯楽大作に仕上げてしまう力技に圧倒される。
前作も凄かったが、さらにきめ細かい。
この方向性だと当分日本アニメは追いつけない。
それは主に経済的理由だ、おそらく金と時間と企画への理解があれば、日本アニメも同等のクオリティを生み出せるのだろうが、この三つが揃うことは非常に稀で、ほとんど奇跡的なことだ、これは社会の豊かさも関連する。

この映画の制作にあたって、週七日十一時間労働で、スタッフが逃げたとかの記事があったけど、スタッフがスタジオの床に寝て風呂にも入れない日本アニメの惨状に比べたら、天国みたいと思ってしまう。

とにかく異常に情報量が多く、全カット絵画のよう。
これはビデオドラッグって懐かしい言葉を思い出す。
MTV風と同じく、実態は安っぽかったけど、このクオリティなら、ビデオドラッグの名に恥じないものが作れると思う。

この多様かつ高密度な絵柄の洪水は、リアリティを揺るがしてくる。
モノクロの日本漫画的スパイダーマンがいたような気もするが、あれは池上スパイダーマンだったんだろうか。
そして予告されてたレオパルドンは出てこなかったような気がするんだけど、見落とした可能性がある。

本作は漫画のアニメ化のネック、絵柄の問題を力技で解決している。
物量で勝負すればそれくらいのことは障害ではないと言わんばかりで、これなら、エンキ・ビラルだろうが、谷岡ヤスジだろうが、アニメにできそうである。

基本系・変奏・エピソード・規範。
正典を巡る物語。

この物語に入り込めない最大の障壁は漫画の笑いのような気がする。



ネタバレとは言えないと思うけど以下注意


物語的には『スパイダーマン』の基本がなぞられつつ、それについてのメタフィクション的視点が重要となる。
雑魚キャラっぽく出てきたやつが意外に重要だけど、本題はそっちではなく、世界の構造の話ってところまでが前編。

当然後半は謎解きと解決に突き進むんだろうけど、さらに色々盛り込んでくるはず。