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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のLtechniqueのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
5.0
映画祭を別にすると、多分数十年ぶりに、昼間っから映画館に。
雪が舞っている。

横溝だって話は聞いていたが、確かに横溝。
日本映画には無理かもしれないが、これ実写で作れなくはないよね。
特撮的には、『ポルターガイスト』『スペースバンパイア』のレベルがあれば十分だし。
なんとなく、『女獄門帳 引き裂かれた尼僧』が思い浮かんだり。
セットと、ロケ、作り手の集中力さえクリアすれば、そこまでお金かからないはず。

物語的には、原作第一話につながる話。
厳密につながるかは少しばかり疑問だけど、アメコミが何度も原点を語り直すようなものと思えば問題ない。

因習村。
いつの間にかそういったネーミングが成立しているが、そのような昔ながらの怪異譚。物語的には神話にまで遡るであろう手堅い話。
だから、物語の意外さに驚くようなことはなかったのですが、悪役が、これでもかと悪役で、微塵も同情させない凶悪さ、触れられたくもないほどの腐敗、おぞましさが、観ていてきもちいい。
問答無用の悪役って物語が締まりますよね。
さらに、クライマックスの後も物語が続いて、エンドロールまでみっちり詰まってる作り。(そのせいでクレジットが読めなかった、それもあってパンフは売り切れ)

『総員玉砕せよ!』をはじめ、水木の戦争体験への目配せもあり、水木しげる生誕100年に恥じない作り。

ねこ娘がねこ姉さんだったのが引っかかるけど、今後こっちが基本形になるのかな。

非常にタイトな104分ですが、PG12なのは、残酷描写よりも喫煙シーンの多さからなのかもしれない。
テレビ放映を意識しての尺だと思われるので、テレビでやってほしい。

日本的な悪を煮詰めたような強力な悪人を出して、微塵も同情共感を起こさせなかったの強い。
この強さは大事。
悪をぼやけさせてはダメ