このレビューはネタバレを含みます
周りの知人たちに強烈にプッシュされながら、なかなか観る機会が取れなかったが、3度目の正直でようやく鑑賞。確かにこれは面白い。
ロシア娯楽映画の、ちょっとタガの外れた、インド映画にも通ずるトンデモなイメージもあるにはあるけど、ベースの物語を重厚に作ろうという作り手の意識が、作品の厚みを作ってる。
戦車の重量感と、ままならない砲塔の回転のもどかしさが、サスペンスを生んでおり、戦車戦の面白さを堪能した。そういう意味だと、戦闘シーンに関しては、最近の中では『グレイハウンド』が、結構近い感覚だった。
砲弾のスローモーションカットは、確かに映画ならではの面白い見せ方だし、この映画の顔でもあるので、連発するのは分かるのだけど、ほとんどすべてそれだったのにはちょっと辟易とした。大事な所に重点を置いて、カットを選んだ方が効果的だった様に思う。
最長版だけあって長いには長いけど、ほとんど無駄のないシーンばかりで、どこを切ったのだろうと思っていた。後日、最初のインターナショナル版からのファンに聞いたところ、納得の詰め方ではあった。
中でも、クラウスがアーニャにプロポーズするのが、鑑賞中も違和感があったのだが、当初はカットされていた様で、その方が正解だった様に思う。設定的にも、クラウスの地位でいきなり結婚は無理がある様に思うし、ただ単純に女として欲しているとかであればまだ有りだったか、と思っていた。ただ作り手としては、ニコライとのライバル関係の対比として、クラウスを単なる悪役として貶めるのでなく、プラトニックな三角関係を作りたかったのかも知れない。
何にせよ、ラストの橋での二人のやり取りは胸熱であった。命をかけて戦った戦士だけが通じ合える友情に涙した。