桃子

嵐ケ丘/嵐が丘の桃子のレビュー・感想・評価

嵐ケ丘/嵐が丘(1939年製作の映画)
3.7
「ヒロインの意外な顔」

アジャーニ様目当てでみた「ブロンテ姉妹」を見て、当然のことながら元ネタも見てみたくなって、恥ずかしながら初見で鑑賞した。ローレンス・オリヴィエのアメリカ映画第1作として有名なんだそうである。知らなかった~(^_^;) 毎度、これも原作は未読で、最初の部分を読んでいるところだが、ヒースクリフの性格の悪さはすぐに想像がついてしまう。オリヴィエがオファーを引き受けた理由はわからないが、リーのように途中で「こんな役はできない」と言い出さなかったのは良かった。
「風と共に…」のレビューにも書いたが、オリヴィエとオベロンは恋人同士の役なのに撮影中はいがみ合っていたという。大嫌いな相手とラブシーンを演じるなんて、シロウトの私が想像しただけでもオエ~~~である。オリヴィエが「もうあんな相手とは演技できない」と言い出さなかったのはほんとに良かった。この人のプロ根性には脱帽する。
長尺な原作をコンパクトにまとめるため、かなりの省略や変更がある。原作は3代にわたる物語だけれど、映画では1代のみで、エンディングが非常にロマンティックなものになっている。原作を元にした別の物語と思ったほうがいいかもしれない。でも雰囲気は充分に楽しめると思う。
キャサリンの夫、エドガー・リントンを演じているのはデヴィッド・ニーヴンである。「80日間世界一周」の時よりずっと若い彼を見ることができる。イケメンだけれど、それほどインパクトはない感じである。でも、脇役としては実にいい味を出している。
で、キャサリン役のマール・オベロン。とっても美人さんで、役柄にぴったりはまっていた。エキセントリックな貴婦人や歴史上の人物の役が得意だったそうである。でもとても驚いたことがあった。当時は仕方なかったのかもしれないけれど、自分の出自を恥じていたようなのだ。「父はインド駐在のイギリス軍人。母はインド人。父と母は正式に結婚したわけではなく、彼女は母親に育てられた。女優としてデビューしてから、彼女はインドとのハーフであるという出自をひた隠しにし、出身地を『オーストラリアのタスマニア島』とし、民族衣装サリーを身につける母を、知人に『使用人』と偽っていた」とwikiに書いてあった。お母さん、可哀想~~~(T_T)
さらに驚いたのは、華麗な恋愛遍歴があったこと。「ヘンリー8世の私生活」のプロデューサーであったアレキサンダー・コルダと結婚したが、レスリー・ハワードとW不倫をしたあげく、ハワードとの恋愛が終わってもコルダの元には帰らなかったそうだ。ふたりが知り合ったのは冒険活劇映画「紅はこべ」だという。ハワードも義賊の役をしていたのか!さらに調べたら、デヴィッド・ニーヴンも紅はこべの役を演じている(1950年公開の「怪傑紅はこべ」)。
1本の映画から、様々な人間関係や知らなかった作品や裏話がわかることが非常に興味深い今日このごろ…
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