カエル

ブラック・イズ・キングのカエルのレビュー・感想・評価

ブラック・イズ・キング(2020年製作の映画)
3.8
映画というよりビヨンセによるミュージックビデオ。
ミュージックビデオだけど、ただ単にかっこいい音楽と映像っていうわけじゃなくてメッセージ性が強いものです。

Blackの人々のもつ伝統や誇り、家族を大事にすること、命を繋いでいくこと。
美しい人々だということの再確認。
皆一人一人が「King」であることを思い出してというものです。

「ライオンキング」のムファサ・シンバ・ナラのセリフが要所要所に出てきており、ベースのストーリーはライオンキングとなっています。
ただ、ライオンキングの楽曲をビヨンセが唄うというわけではなくて、ストーリーを踏まえて、新しい楽曲によって物語が進行していくのです。

「美」の基準を再定義しているような気がします。
圧倒的に美しい映像に圧倒されます。

ただ、私はPCにて。ディズニープラスで視聴してますので、残念ながら高画質ではない...4Kだともっと細部の細かい花の花弁の色の違いや、ビーズ一つひとつが個性を持って画面に表現されるんだろうと思うと悔しい。高画質映像の環境で、できればIMAXの大画面でみてみたいものです。

「黒」っていうのは、とてもフォーマルで正式で格調高い色でもあるのに、肌の色が暗い人々に対しては、何世紀にもわたって見下してきた世界があって、それが今も影響している。。。

あなたは尊い、あなたは美しい、
映像をみていると、出演者たちは文句なしに美しく、素晴らしい色彩感覚からなる衣装や造形、自然の風景など、言われなくても「美しい」のはわかりきったことなのに。
わかりきってるはずなのに、そうじゃないとされてきた歴史があることを思うと、そうじゃないと言われてきた当事者たち(黒人)の感じたことに少し思いを馳せると恐ろしくなりました。

差別っていうのは、対象が何か別のものになるだけで、根本的には同じ構造だと思います。

結局、みんな違ってみんないいという心を皆が持つだけで、この世界はもう少し優しく美しいもので溢れてくるのかなとも思いました。
美しいものに溢れているこの世界を一部のみを「美しい」と決めつけるのはナンセンスですものね。


沢山のアフリカ大陸の国のアーティスト達による曲もあり、とてもカラフルな衣装や自然・背景・セットなどを楽しむことができます。

ビヨンセの娘さんのブルーアイビーちゃんの素敵な歌声とかわいい姿、相変わらず美しいルピタ・ウニョンゴのはにかみ笑顔も楽しめる「Brown Skin Girl」が一番好きな曲です。

お母さんが娘に対して、あなたは綺麗よ、美人よ、って向かい合って歌ってくれる感じが凄く好きです。
Brown Skin Girl, Ya skin just like Perls.
優しい歌声が凄く心地よかったです。

私は顔に痣があるのですが、小さい頃なぜ私にだけこんなのがあるのかと母に聞いたことがあります。
そのとき、母が私に、これは「美人のしるし」と教えてくれました。
能天気で単純なわたしは、「あ、そうなんだ!皆にはないけど、わたしだけにある印?凄くない?やった!」と。騙されてました(笑)
そのおかげか、やたらと自己肯定感の強い子で、それは色々と物事を能天気に考えられる私の性格に大いに影響してるかなと思ったり。

Brown Skin Girlをききながら、それをふと思い出したりしてました。

あと「Water」っていう曲も凄く好きになりました。

お気に入りの曲をみつける楽しさもありますよ。
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