Inagaquilala

プレイヤー ~浮気男のラプソディ~のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

3.8
イタリアの俳優というと、トニ・セルビッロとリッカルド・スカルマッチョが贔屓なのだが、2人が共演したパオロ・ソレンティーの監督の「LORO 欲望のイタリア」(2018年)は、やはり自分好みの作品だ。イタリアの首相だったシルビオ・ベルルスコーニをモデルにしたこの作品は、いかにもソレンティーノ監督らしい、ゴージャスな映像に政治のナマ臭い物語が絡み、妖しい匂いも加わった芳潤な作品で、主役の政治家を演じるセルビッロと、それに取り入ろうとする野心家のスカルマッチョが、絶妙の絡みあいを演じている。

そのスカルマッチョが、脚本にも名を連ね、メインキャストも演じているのがこの作品だ。このところスカルマッチョは、「ジョン・ウィック:チャプター2」(2016年)や「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」(2019年)など、イタリア以外の作品でも活躍しているが、Netflix作品の「ザ・ロースレス〜とあるマフィアの転落人生〜」(2019年)の演技も良かった。この「プレイヤー〜浮気男のラプソディ〜」は、フランスの「プレイヤー」のリメイクだが、元のエピソードをうまくつなぎ合わせながら、スカルマッチョを中心に置いて、いかにもイタリア風な艶笑コメディに仕上がっている。

内容に関しては、サブタイトルの通りだが、欲望に取り憑かれた男たちの悲喜劇が、巧みなエピソードの繋ぎ合わせで、小気味よく連なっていく。野心満々の人間を演じさせたら、その迫力ある眼光で素晴らしいものを見せるのだが、こういうコメディタッチの役柄もかなり似合っている。そのあたりが、セルビッロと並んで、贔屓の俳優である理由なのかもしれない。監督は、「インビジブル・ウィットネス 見えない目撃者」(2018年)のステファノ・モルディーニ。
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