Jun潤

名も無い日のJun潤のレビュー・感想・評価

名も無い日(2020年製作の映画)
3.5
2021.06.11

予告を見て気になった案件。
永瀬正敏、オダギリジョー、金子ノブアキが三兄弟として共演した作品。
企画・製作・監督の日比遊一の半生を基にしたストーリー。

ニューヨークでカメラマンをしている長男の達也は、次男の章人の訃報を受け帰国する。
三男の隆史や同級生たちと再会する中で、章人の身に何が起きたのか、過去と現在を回想する。

予告の感じから弟の死を起点に動き出す人間ドラマのように思っていましたが、達也を中心とした人物たちの心の動き、章人が死を迎えた実家の風景を通して、死んだ人間が何を考えていたのか、死を受けた人間はどのように生きていくのか、が伝わってくるような作りをしていました。

今作はなんといっても三兄弟の方々ですかね。
達也を演じた永瀬正敏は、長男として弟2人を厳しく導き、優しく手を差し伸べている様などの強い姿と、
ニューヨークから一時帰宅している間に見た弟の様子を放って、ニューヨークに戻っている間に死んでしまった後悔する様や衝撃的な出来事から写真を撮ることができなくなってしまった弱々しい様子を演じられていました。

章人を演じたオダギリジョーは、自由な道を進んだ兄と弟に挟まれ、一家の期待を一身に背負い、その期待に押し潰されてしまう姿が表情いっぱいに表れていました。

隆史を演じた金子ノブアキは、末っ子らしく章人に憧れ、達也に甘えながらも妻との未来を考え、章人の死を受け入れようとする様が描かれていました。

今作で描かれていたのは孤独死の結果いつ死んだのかが分からず命日も分からないということ。
そうだとしても遺族がいつというのを決めて、受け入れて、前に進んでいかなければならない。
「命日」という区切りがある死者、「何も無い日」が死ぬまで続いていく遺族、その対比が描かれた作品だったと思います。
Jun潤

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