らんらん

白鷺のらんらんのレビュー・感想・評価

白鷺(1941年製作の映画)
3.0
泉鏡花原作の映画化、主演は入江たか子
助演は黒川弥太郎、清川玉枝、沢村貞子ら
監督は島津保次郎なんだけど、今回見たのは戦後豊田四郎が再編集したという短縮版です

【内容】
お嬢さま暮らしだったお篠(入江たか子)の転落人生を描く
借金が増え続けて芸者にまで身を落とすも借金はいっこうに減らない
辛い日々を過ごすお篠の慰めは若い画家稲木(黒川弥太郎)とのひととき
稲木はなんとかお篠を助け出したいのだがあいにくの甲斐性なし
そんな間にも女将(清川玉枝)と組んだ成り上がりの色ボケじじいに体を狙われる日々、その度に何度も逃げ回ってきたのだがいよいよ追い詰められて、、、

【感想】
少し前に山本富士子が主演した「白鷺」を見たので忘れないうちに戦前版を見ておくことに

思ったのは同じ原作のはずなんだけどだいぶちがうなーって
戦後版では画家の先生は物語開始前に死んでたし、その先生への恋心みたいな描写も一切なかった、その辺のくだりがいちばんの違いか

登場人物にしても杉村春子の役は戦前版しか登場しないし、野添ひとみの役も戦後版にしか登場しない

本作は短縮版ってことなので評価しずらいとこもあるんだけど、正直いまいちだと思う
良く言えば奥ゆかしい、あえて描写はしないけど想像してねみたいな? そういうのって戦前の映画の良いところでもあるけど、本作だとなんか淡々とした感じ、あっさりした印象になっちゃっていまいち伝わらない

こちらの方が良かった点としては
清川玉枝のクソババアぶり、露骨ないやがらせと追い詰めっぷりが凄い
戦後版の清川虹子は多少の遠慮があったけど清川玉枝は遠慮なしだもん、気持ちいいくらいのクソババアを好演

入江たか子については出演作あまり見てないので実は顔もあまり認識していない
化け猫シリーズなんか時代も違うし参考にならないもんね
今回思ったのは戦後版で同役の山本富士子とすごい似てる
顔つき、仕草、声なんかお富士さんを思わせる場面がちらほら
同じ役を演じてるからっていう感じじゃなくて、お富士さんのイメージそのものと似てる
それが本作に限ってなのか、他の作品でもなのかは気になるところ
でも入江たか子の出演作(それも戦前)って見る機会あまりないんですよねー
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