はつか

ノマドランドのはつかのネタバレレビュー・内容・結末

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

気ままに旅を続けるノマドたちの自由さを描いたんだろうと予想してたけど、キャンピングカーでも生活は快適とは言い難く、トイレの始末や足も伸ばし切れないようなベッドでの寝食を強いられる日々。
彼らの生活は“自由を得た”というより、資本主義の渦に呑まれることとハウスレス生活の”どちらの不自由さ“を選択したか、なんじゃないかと思いながら観始めていた。

それぞれの事情と思いを抱えて旅するノマドたちの絆が丁寧に描かれていてとてもよかった。
期間就業の間仲良くなってもすぐにまた散り散りになって、出会いと別れを繰り返していく。
主人公ファーンが住み慣れた街を離れきれなかったのは亡くなった夫を残して行ってしまうようで踏ん切りがつかなかったのかな。
誰かに求められても拒絶し続けていたのは、再び留まったとしてもいつか来る別れが怖かったのかもしれない。

「喪失感や孤独感を抱えていてもいい。いつかまた会える」と言葉をもらってようやく”自由になって”前進できるようになるというストーリー性もきちんとあって、フィクションとドキュメンタリーの境界線のあやふやさに心を掴まれまくってしまった。
実際のノマドの人たちの言葉、夕焼けの美しさ、海風の感触、水の冷たさ、草木の匂い、全部が伝わる嘘のない演出に何度も涙が溢れた。
はつか

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