風神

ノマドランドの風神のネタバレレビュー・内容・結末

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ムービープラス放送分を録画して鑑賞。

徹頭徹尾、人目線のカメラアングル。
自分がそこに居るかの如く感じる
セミドキュメンタリー作品。
名作でした。

ホームレスでは無くハウスレス。
序盤で語られたこの言葉で
スゥーッと世界観が体に入ってきた。

自分が若かった頃
ハイエースとかを改造して
後部座席を取っ払って
布団とちょっとした荷物のみ積んで
全国を旅したいと思ってました。
でも、それって帰る家がある前提。
その段階で
覚悟が足りなかったのでしょう。
お金も暇も無くできませんでしたが
結婚前の一人の頃だったら
勇気持てばできたかも。
やっときゃ良かったとも思うが
日本って、流れの人が働けるような
環境はなかなか厳しそう。
携帯電話なんて無かった頃は
固定電話の無い人は
信用されない時代だったし。

主人公や他のノマドの多くが高齢者。
好きでやってる人もいるし
仕方なくやってる人もいる。
病気は切実な問題だし
運転や仕事ができなくなったらアウト。
まぁ、主人公もこの決断が出来るほどに
精神力も強いし、結構頑固さん。

季節労働者として転々として暮らす。
気候が良い時はイイけど
極寒の車中泊はかなりキツい。
暑くてもキツいし、大変だと思う。
急な車のトラブルでの修理代だって
死活問題になりかねない。

憧れた暮らしではあるが
車が家となると、住民票とかどうなるの?
住んでいた住所が消えたのなら
免許証の住所も消えてしまいそう。

物語の向こう側に透けてみえる
アメリカという国の闇。
年金問題は、日本も他人事では無い。
そして、ここでも語られる尊厳死。
自由の国アメリカでも認められない。
それでも、アメリカに生まれて
幸せだと言い切れる人がいる。

ノマドとして生きる。
その訳は人それぞれ。
辛さや問題点アピールでは無く
当人たちの状況と思いを
余計な感情を煽ることもなく伝える。
シンプルな作品ですが
没入感が物凄くて驚いた。

2023-95
風神

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