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アイダよ、何処へ?のMaoryu002のレビュー・感想・評価

アイダよ、何処へ?(2020年製作の映画)
3.8
1995年7月のボスニア・ヘルツェゴビナ。国連指定の安全地帯スレブレニツァにセルビア人が侵攻し、住人たちは国連基地周辺に逃れる。国連で通訳として働くアイダ(ヤスナ・ジュリチッチ)は避難民の中にいた家族を救おうとするが、国連基地にまでセルビア人たちは迫っていた。

残酷な映像は少ないものの、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争でのスレブレニツァの虐殺という史実を強烈なインパクトで体験させられる。

最近まで隣人だったり、友人だった人々が敵味方になって、相手の命を奪っていく。日本人には理解が困難だが、それがヨーロッパやアフリカの内戦や紛争の実態だ。
この地域の紛争もセルビア人だけでなく、ボシュニャク人、クロアチア人の三者が互いに虐殺を繰り返したことで泥沼化してしまった。

報道で虐殺の事実は知っていたものの、国連のオランダ軍の無力さに愕然とさせられた。
完全にセルビア人たちの言うなりで、この映像を見ちゃうと “やっぱり武力にはより強い武力が必要だ” って思っちゃうよなーと複雑だ。

教師に戻ったアイダだけど、家族を奪った隣人たちを赦すのは難しいだろう。ラストの表情は、いかに赦しが難しいかを物語っているように見えた。
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