チーボー

ミス・マルクスのチーボーのレビュー・感想・評価

ミス・マルクス(2020年製作の映画)
4.1
音楽が観客をやっつけます。
ショパンがペカペカしとる。
アレンジによって旋律の持つ力が浮き彫られる。

そうよね、ロックは本来カウンターの音楽、闘争。
いろんな「ロック」に分類される音楽を思いうかべ、もともとの姿からすると、無数に枝分かれした成長曲線がうねうねと長く長く伸びていって、やはり各々遠くに来ているのかね、などと。

恋人、そして父。
情愛が深いからこそ、襲ってくる失望に次ぐ失望。絶望。
(父マルの罪と軽薄な英ポロの取り合わせはグッときました)
身を焼かれながら「前に進み」続ける彼女の姿。
恋とはかくもどうしようもないものか、を皆々様あの手この手で語るわけですが、劇中暗い道のりにあっても陰気さが無くて素敵。
ずっと、画は華やかさすら感じます。

白人、上位階級・強者の側にいるからこそ闘えるやり方があり、
信念のもとに労働者の代弁者となる。
他方、家父長制・性によって強烈な搾取に遭う。
無意識のうちに幼少期から心身をズタボロにされ、
甘い顔した略奪者に囲まれながら女性解放へ声を張り上げる。

わが身に付きまとう、逃れようのない矛盾。
積年の苦しみはいかばかり。なんて強いんだい。
チーボー

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