ニューオーダーのきゅうげんのネタバレレビュー・内容・結末

現在もっとも現実味あるディストピア。
結婚式に乱入する暴徒化したデモ隊、混乱に乗じて犯罪に走る兵士、状況を利用し独裁政権を樹立する軍部……。
パーティに現れる暴徒の不穏な画や、個人的な出来事から大局的な事態へ引いてゆく展開、治療費の工面と身代金要求とがパラレルになる構造など、映画的な緊張感がまったく弛緩しません。

階級闘争からはじまった非常事態なのに、結局は国家に都合のいい管理社会と上流階級の温存とに着地するのもなかなかリアル。婚約者の母や主人公の兄の人間性にまったく変化がない感じなんてホント最悪です。
社会階層に関わらず良識的で良心的な人はいるハズなのに、とにかく一番救われるべき人々が救われない、救いのない映画でした。