このレビューはネタバレを含みます
怖いけどこれまでの長い人類史の中でこんなこといくらでもあるんだろうなと思う。
それぞれの人物の言動が自然に感じるから、よりあり得そうで怖い。
こうすれば良かったみたいな答え合わせもできない作りなので、もしこんな世の中になってしまったらという仮定での救いのない地獄巡り。
異国の物語として観たからまだ距離感持って観れたけど、メキシコの人はどうなんだろう？
暴動後の混乱した街の景色を一枚の絵のように見せる箇所が印象的。歴史の一場面を描いた絵画から普遍的な何かが読み取られるような構造を、フィクションの映画の中で作っている感じ。
全体を通してどの登場人物にも過度に感情移入し過ぎないで撮られているのも、歴史の一片を見せられたような印象に繋がってると思う。
最初に家を訪ねた元使用人の夫に対して、他のパーティーの参加者がほとんど気にも留めずに道を避けさせたりするシーンは、さりげないけど富裕層の無意識な差別感情が表現されててよかった。
軍の偉い人が「安心してください」とか言ってたけど、全然信用できない顔つきと表情で案の定だからもはや笑ってしまう。
緑色のモチーフがもっと出てくるかと思ったけど、最初の方だけだった。
