映画全体が前半と後半に分かれていましたが、後半戦はかなり良くて前半はけっこう退屈でした。ですが、後半戦の方が尺が長かったので全体としての満足度としては面白かったかなと思います。
後半戦の人間ドラマはけっこう良かったです。挫折や失敗と成功の両面があってそのおかげでキャラクターがこの物語と関わる理由にも説得力がありましたし、この映画のメッセージ性がラストに分かった時、すべてがそれに向かって進んでたんだなと感じることが出来ました。確かにレディバードとかに比べると中盤以降挫折の面が小さくなってしまうようには感じますが、本作は一つの挫折からの這いあがりに集中している作品だと感じたので、今までの映画の純青春ドラマにおいてはけっこう珍しいタイプだなと思いました。
脚本以外の部分では音楽が特徴的でした。機械を彷彿とさせるエレクトロニックな曲が使われていたと思ったら、将棋特有の無音の中で緊張感を煽ったりなど、音響でメリハリをつけるのが非常にうまいと思いました。
ですが、先ほども言いましたが、前半部分はけっこう微妙でした。キャラクターの性格の部分が異常にデフォルメ化されていて、実写映画でしたがアニメのような印象を受けました。そのせいで見た目は本物の人なのに性格はありえなくてすごくちぐはぐな映像が多かったです。
後半戦の青春ドラマは独特な上に完成度も高かったので見ていて泣ける部分もありましたが、前半戦はけっこう不愉快なことも多かったです。戦術とかが出るわけではないので将棋映画としてみたらたぶんそこまで良い映画だとは思いませんが、青春ドラマが好きな人はけっこう楽しめるかと思います。