サンセット

メトロポリス 完全復元版のサンセットのレビュー・感想・評価

メトロポリス 完全復元版(1926年製作の映画)
3.5
[20221226]カラー化して日本語字幕を付けた150分版がYouTubeに上がってたので観てみたけど、1927年公開とは思えない要素が満載で衝撃だった。手塚治虫の『火の鳥』とかで地下に住んでる人々の設定が出てくるけど、これが元ネタなのかと思った(そもそも同名の漫画も描いてたりするが)。
この年代のドイツ映画だと『カリガリ博士』を観たことあるけど、ディストピアSF要素があまりにも時代を先取りしていて、本作の方が断然イチオシになってしまった。「地上のバベルの塔で暮らすエリート階級」vs「地下都市に押し込められた単純労働者」、「機械化や合理化が進んだ科学都市」vs「心の拠り所としての信仰」、「人間」vs「機械人間」、みたいな対立構造が詰め込まれていてすごい。車や電車の空中トンネルが描かれたのもこれが初なのか? 複数の話が並行して進んだりするけど、音楽やちょっとした小道具のお陰で場面転換も分かりやすい。
WWⅠとWWⅡの間のドイツは決して空白期間だったのではなく、こういう文化があったということを知れてよかった。「頭脳と手の媒介者は心でなければならない」どこかで使ってみたい。ただ、マリアの偽物がバビロンの大淫婦になる要素とかは、聖書をよく知らないので理解が難しかった。
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