ある館で働くため集められた男女数名が田舎道をバス移動中、運転手に急死されてしまう。迷い込むようにして一同が辿り着いたその村は、美貌の伯爵夫人が統治する吸血と人肉嗜食の共同体であった。
貴族が偽りの求人で様々な職種の労働者を集めては、村一同で悪さをしているということなのだろう。吸血伯爵夫人、若い男性相手に文学と演劇の知的愉しみを満たした後は性愛の快楽にひたり、最後は男を寝室のベランダからゴミのように捨てて村民に下賜する。原題は吸血鬼たちの乱交パーティ。
少しでも栄養をつけさせて客の血を吸うため、村の鍛冶屋が決め事のように強制的に客用食材の提供者にされ、手足を切断される。彼ら鍛冶屋は吸血鬼化したロマの設定だろうか。いや、この共同体ではロマだけが吸血鬼であることを許されず、特別食材として外部に追いやられているのか。映画の階級描写は辛辣だ。体制風刺がある。
安直なヌード場面を交えた、全体にゆるい構成と演出だが、ギョッとなる規格外の演出が飛び出さないわけでもない。子供二人の顛末は驚いた。ロケーションが素晴らしく、旅情をそそる。実際こんな村だったら困るのだけれど。