曇天

ザ・フラッシュの曇天のレビュー・感想・評価

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)
4.5
マルチバースというテーマひとつとっても色んな料理の仕方があるんだなぁ、面白い。
ジャスティスリーグは観てなくてもいいけど、DCのゴタゴタは知っていた方が数倍楽しい! 同じシリアスでもDCはこれくらいズラして開き直ったシリアスがいい気がするよ。

序盤は本当2人のバリー君に笑い転げた。
「走る」ことで時間旅行ができてたのにそれができなくなって未来に戻るために「雷」に打たれるってプロットがあまりにもバックトゥザフューチャー過ぎるのでBTTFの名前が何度も出てくる。

老練なバットマンと新鮮なスーパーガールも対照的な魅力に満ちてる。昔でいう「パラレルワールド」という不穏な表現の方が似合うくらい、見知った人頼れる人が居ない不安や不気味さが良きバイブス。

過去を変えることはできない、それでも別の一歩を踏み出すしかない。っていうテーマがとにかく今のDCEUにぴったり当てはまっていたたまれない。
走り出したはいいがつまずきの連続のDCEU。興収も評価も振るわず、監督交代劇、近年のゴタゴタやスキャンダルもある。そしてとうとう当初の計画を白紙にしてジェームズ・ガンの新体制…。もう「あったかもしれない未来」にこだわってはいられない、現実を受け止めて前進するしかないのだ。転んだり失敗しても走り続けるバリー・アレン君と新体制DCスタジオが重なって見えて、彼らの覚悟みたいなものを感じ取れた。

クライマックスはマルチバース宇宙というよりもうDC映像化の歴史を回顧している博物館の映像。バットマンやスーパーマンの過去の俳優達に言及するメタ手法は『スパイダーマンノーウェイホーム』とやり方は似てても趣が大分異なっててそこが面白い。特に昔のスーパーマンを出すとしたらこういうやり方しかないんだろうなぁ、悲しい。あえてCGを鈍らせて不気味さを作り出そうとしている。でも気概を感じられたし、見れてよかった。エリックBTTF然りニコラススーパーマン然り、ザックジャスティスリーグもだ、この映画には「あったかもしれない未来」が散りばめられてて切ない。そこに真っ直ぐ突っ走っていくバリー君が対比で引っ張ってくれるので頼もしい。私生活はアレだけど勿論続投するよな?
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