とぅん

ベイビー・ブローカーのとぅんのネタバレレビュー・内容・結末

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

是枝監督が韓国キャストで撮りあげた最新作。

最初は結構韓国の空気感に染まっているなぁと思っていたけど、途中から赤ちゃんの人身売買から派生する疑似家族の話という監督のフィールドに持って行ってて、あーこれが観たかったんだよと思ったり。

赤ちゃんの人身売買を生業とするサンヒョン。
彼をアシストする孤児院出身のドンス
彼らが赤ちゃんポストで拾った子どものウソン。
ウソンを捨てた母親のソヨン。
人身売買に手を染める2人の男と、彼らが売ろうとしている子どもの母親が、色んな取引相手と対峙することで、様々な人間模様を炙り出していく。

彼らは家族を装って人身売買の旅をしていくのだけど、ドンスと同じ孤児院のヘジンが勝手に着いてきたところあたりから、さらに疑似家族の様相が強くなっていくのが監督らしくて良かった。
むしろここからが本番というか。

ドンスが劇中で言う、赤ちゃんポストに入れられた赤ちゃんと一緒に手紙が入っていた時の、母親が本当に迎えに来る確率は40人に1人だっていうのがリアルに感じた。

借金の為に人身売買に手を染めているけど、サンヒョンはキッチリ赤ちゃんの世話をしてたり、ソヨンも父親を殺したことで、人殺しの子どもにしたくないって想いがあったり、みんな一筋縄にいかないキャラクター設定なのが良いなぁ。

サンヒョン失踪、ドンス逮捕、ソヨン自首で、刑事のスジンがウソンの面倒を見ていて、出所したソヨンと面会しにいくラストは私の期待していたものではなかったけど、みんなが映った写真が車の中で揺れるカットで終わらせるのは好きだったな。

ソン・ガンホはもはや出てくるだけで安心できる凄い俳優だと思うし、ペ・ドゥナら作品で見かけたことのある俳優を揃えていて、是枝監督のネームバリューの大きさを感じた。
とぅん

とぅん