鮮魚

ベイビー・ブローカーの鮮魚のネタバレレビュー・内容・結末

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

社会問題を扱っているにも関わらず、終始なんだかやさしい。
韓国の最高おじさんことソン・ガンホが、やはりその安心感とこの全ての空気感の根底にあると感じる。


ちぐはぐな彼らが家族よりも家族に見える瞬間が度々あるが、それは同じく是枝監督の作品の万引き家族を彷彿とさせる。
他人でも、絆や愛はもちろん持てる。「本当の家族」であることが大事なのではなくて、相手を大切に思えることこそが大切なのだと、この映画は教えてくれる。


「生まれて来てくれて、ありがとう」
なかなか言うことのない言葉だけれど、何よりもその人を肯定する言葉だと思う。
施設で生まれ育っても、借金をして離婚して子どものブローカーをしても、親に捨てられても、子を捨ててしまっても、みんな、生まれてきてくれて、ありがとう。
心に穴の空いた彼らを抱きしめる、やさしい言葉。だってそれでも、生きていくしかないのだから。


ラストは疑問が残る部分もあったけれど、こんなに難しいテーマを、観た人をこんな感情にさせる、複雑で悲しくてどこか優しい作品に仕上げたのはすごいと思った。
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