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相撲道~サムライを継ぐ者たち~のdm10foreverのレビュー・感想・評価

4.2
【お祖父ちゃんの思い出】

小学生低学年の頃、夏休みや冬休みになると2~3週間の間、まるで合宿のようにお祖父ちゃんの家に泊まっていました(「鬼」のレビューで出てきたお祖母ちゃんは父方の祖母で、今回は母方の祖父です)。

お祖父ちゃんは豊羽鉱山(現在は廃坑)の元炭鉱マンで、息子さん(つまり僕の伯父さん)も炭鉱マンだった。そしてその炭鉱マンの多く(というかほぼ全世帯)が、鉱山が所有する団地に住んでいた。
豊羽鉱山は札幌中心部からも車で1時間くらいの場所でしたが、なんせ獣道みたいな山道をしばらく走ってやっと辿り着くような場所だったので、いちいち街まで買い物に出ることも出来ないので、鉱山の団地の周囲にスーパーやら学校やら銭湯やらプールやらと、それなりのモノが揃ったコミュニティが出来上がっていた。

だからね、そこに行ってからの一定期間は、全く外(都会的なもの)とは一線を画した生活をすることになる。
まだ携帯はおろかインターネットすらない時代。
近所に友達がいるわけでもないから、もっぱらお祖父ちゃんの家で一人でミニカーで遊んでるか、裏の山でカラスアゲハ(めちゃくちゃデカい蝶々)やオニヤンマ(これまためちゃくちゃデカいトンボ)を沢山捕まえて遊んでた。意外と退屈してなかった気がする。

・・・で、そんな日々の中でしっかりと覚えている思い出。

(♪トン、トトントン、トトントン・・)

軽快な太鼓の音とともに始まる「大相撲中継」。
お祖父ちゃんは絶対欠かさず大相撲を観る人だった。
特定の誰かを応援していたのかはよく覚えていないけど、大好きなハイライトをプカプカと燻らせながら、一番一番真剣に観ていた。
「ほれ、dmちゃん、こっちおいで。みかんあるよ」
そう言っていつも僕を膝に乗せて二人で相撲を観ていた。
僕は特に相撲は好きでも嫌いでもなかったけど、ただその何とも言えない時間が好きだった。
湿布とタバコの煙が混じった「お祖父ちゃんの匂い」。
そして、「カン、カン、カン」という拍子木の音や「ニ~~~シ~~~○○ヤ~マ~~」みたいな呼び上げの声とか・・・その光景全てが今も残ってる。
子供の頃のほっこりする思い出の一つ。

お相撲と僕の距離はその時のまま。離れてもいないけど、かと言って近づいてもいない。
そんな僕がこれを観たのは本当に偶然でした。 
ちょっと長くなりそうなんで、ここで一旦切ります。続きはネタバレコメ欄へ。

ただ一言。
「観て良かった。」
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