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フェイフェイと月の冒険のKUBOのレビュー・感想・評価

フェイフェイと月の冒険(2020年製作の映画)
3.7
配信で見られるアカデミー賞ノミネート作品を見るシリーズ、4作目は、長編アニメーション賞にノミネートされた『フェイフェイと月の冒険』。

この作品、配信された頃からマイリストには入れてたんだけど、ずっとそのままで見てなかったのはキャラデザがおもしろそうじゃなかったから。

主人公は中国人の女の子なんだけど、中国人というよりタイかベトナムかそっち系に見える眉の濃さ。

でも始まってみてびっくりしたのは、ほぼほぼディズニーのミュージカルアニメーションの雰囲気そのままなこと。

それもそのはず、監督は長年ディズニーでアニメーターをしてきたグレン・キーンという人。本作が初監督ということだが、どうりでディズニーっぽいわけだ。

技術的には相当高度。英語を発音する時の口の動き方がちゃんとしてる。くちびるの動きを読んでも何を言ってるのかわかるレベル。

ミュージカルとしても楽曲が素晴らしく、特に主題歌的な “On the Moon Above” はいわゆるアナ雪の “Let It Go” のようにキャッチーで一度聞いたら耳の中でリフレインする名曲だ。

物語は、お父さんの再婚に賛成できない思春期の娘フェイフェイが、地球に残してきた恋人を永遠に待ち続ける、中国の神話に登場する月の女神「チャンウー(嫦娥)」に会いに行くファンタジー。

冒頭は中国の田舎町が舞台で、日本で言えば昭和のような雰囲気。「月餅」が物語のモチーフにもなっているが、私も今は亡き母がよく買ってきてくれたお菓子なので、また食べたくなったなぁ。大家族で食べる円卓に乗る中華料理の描写がリアルですごく美味しそう。

中盤以降登場するファンタジーとしての月の世界は色とりどりのカラフルな世界。細田守の『サマーウォーズ』にも影響受けてるんじゃないかなぁ?

トータルで相当高い完成度。アカデミー賞ノミネートは納得の作品でした。ただ、アジア人キャラの過剰なディフォルメ、明らかに中国人が英語でしゃべり歌いまくる、いかにもアメリカ製のミュージカルアニメーションという立ち位置に違和感は感じた。
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