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フェイフェイと月の冒険のRのネタバレレビュー・内容・結末

フェイフェイと月の冒険(2020年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2020年のアメリカの作品。

監督は「親愛なるバスケットボール」のグレン・キーン。

あらすじ

幼い頃に亡き母親から聞いた「月の女神」の伝説を信じている少女フェイフェイは月の女神の存在を証明するため自作の宇宙船で月へと旅立つ。そこで、彼女は伝説の月の女神「チャンウー」と出会い、彼女の宝物を探すために思いがけない冒険をすることになる!

Netflixにて、トップページに出ていた時に気になって鑑賞。

お話はあらすじの通り、中国を舞台にしたファンタジー。のっけから「チャンウーの伝説」や「月餅(つか、あれって中国のお菓子だったんか!)」などアジアンテイスト溢れる世界観が魅力的。

で、監督のグレン・キーンさん元々は、著名なクリエイターを何人も輩出しているカリフォルニア芸術大学の出身で、同僚のあのピクサーの実質的な立役者であるジョン・ラセターと共にディズニーに入社し、「リトル・マーメイド」や「美女と野獣」などの作画監督をしていた経歴がある。

ということなのか知らんが、Netflix配信作品としては珍しく、ど頭からめちゃくちゃミュージカルシーンがあるぅー!!

しかも、楽曲のレベルがめちゃくちゃたけぇ!!オープニングの「月の上で」とか「月餅の魔法」、ディーヴァ感が目立つチャンウーの登場曲「絶世の煌めき」、そして表題曲である「ロケット・トゥ・ザ ・ムーン」などなどマジでディズニーの楽曲群と大差ないくらい一つ一つがちゃんとアジアンテイストを生かしつつ楽曲に落としていてすごい!

で、更にご丁寧なことにその全てに吹き替え版だと、その吹き替えのキャスト陣による歌唱パートがあるという!主人公フェイフェイ役はあの「ミラベルと魔法だらけの家」で聴力に優れた従兄弟のドロレス役で見事な歌唱を披露した大平あひるさんが担当しているというからすごい!そして、めちゃくちゃ上手い!!また、表題曲の「ロケット・トゥ・ザ ・ムーン」はディズニー版と同じくまた別で有名アーティストによるカバーがエンディングで入るんだけど、それを歌ってるのがYOASOBIのボーカルでもある幾田りらちゃん!YouTubeでは舞台裏で実際に録音している動画が公開されるなど、マジでディズニーレベルでの布陣で改めてネトフリ金持ってんなー笑笑。

ただ、個人的に一番良かったのはそんな表題曲ではなく、中盤でチャンウーとフェイフェイのお父さんが再婚した相手の連れ子であるチンによるシーンで流れる「ヘイ・ボーイ」!!シーンとしてはチャンウーとフェイフェイが映った写真をくれることを交換条件に卓球対決をするところで流れるんだけど、卓球対決というディズニーファンタジーでは決して出せない世界観の中でスピーディーに白熱するラリーの中でラップシーンで畳み掛けるように歌い上げるというとにかくハイクオリティで激アツなシーンとなっており、それまでウザさが目立ったチンの活躍によってキャラクターに愛着が持てるシーンの後押しにもなっていて良かった。

後は楽曲以外の面で言うと、やはりその世界観がすごい。主な舞台は月での冒険になっていくんだけど一言で言ってしまえば、かつてPSPで出ていたアクションゲームで「ロコロコ」っていうゲームがあるんだけど、あれを彷彿とさせるシンプルな空間の中でそこに出てくるキャラクターだけは蛍光色にライトアップされた異世界感!!その中には月餅みたいなチャンウーのお付きが出てきたり、中盤から出てくるゴビっていうイモムシと犬が合体したようなキャラクターが出てくるんだけど、月の世界で俺らが考えているようなクレーターがたくさんある何もない空間というイメージの正反対のとにかくカラフルな世界観で観ていて面白かった。

ただ、お話の側面でいうと、これが子ども向けという意味で見てもあまり面白くないというか、かなり淡白でこじんまりしている。途中でニワトリみたいな3人組と宝物の争奪戦を繰り広げたりしたりもするんだけど、わりと簡単に宝物をゲットしちゃってチャンウーに渡すまでいっちゃったりと、とにかく全体的にご都合主義というかあっさり風味なんだよね。

その最大要因がフェイフェイが月にいくシーン、これがまたお手製のロケットで月に飛び立つという、むしろそこを主軸にするだけで映画に出来そうなシーンなんだけど、空気圧とかそこらへんの細かいところはどうでもいいんだよ!とばかりに無理やり飛び立って、あとはシーサーみたいなチャンウーの守り神みたいな生き物に見つけてもらって月までゴーという、まさにファンタジーな現実度外視だった。

あとチャンウー、この役割だと実は性悪な面があっても良かろうに高飛車でとっつきにくさはあるものの割と序盤からフェイフェイやチンに対してもそれほど障害にならない点もそういう風に感じる一因なのかな。

終わり方もまぁそうなるよねー!という大団円な終わり方だったけど、お父さんと再婚した新しいお母さんやチンとも本当の家族になれてめでたしめでたしで終わったあとがちょっと助長的というか長い。もう少しそこはズバッと終わらせても良かったかなーと思いました。

そんな感じで、Netflix独占のあまり知られていないアニメーションだと侮るなかれ、クオリティはディズニーレベル、しかも歌唱シーンありと、特にディズニー好きな人は観る価値はあると思います。

十五夜が控えるこの9月、月を見ながらの鑑賞もまた乙ではないでしょうか。
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