このレビューはネタバレを含みます
ドイツ兵に母親を殺され、ドイツ軍の補給を断つ為に軍に家を焼かれ、疎開を余儀無くされたロシア帝国統治下ラトビアの純朴な少年が、退役軍曹の父親と准尉の兄と共にライフル連隊に身を投じ、第一次世界大戦と革命戦争、ラトビア共和国軍の闘いを潜り抜けていく。
凍って黒ずんだ死体とか、病院の治療器具とかは生々しいけど、北欧の戦争映画らしい透明感ある映像と演出で、ブルータルな感じはしない。
原作を知らないので小説にある描写なのかも知れないが、エンドロールに映される記録写真を見ると、多くのシーンに有名な写真の元ネタがありそう。
ラトビアの興行記録を塗り替えた作品なので、一般の観客が観ても気分悪くなったり、トラウマ映画にはならない程度のリアルさに抑えてはあるのでしょう。
ラトビア独立への殉教者として意図的に無垢なキャラクターにしているのだとは思うけど、父親や兄貴がバリバリ軍人として活躍するのに対して、主人公はあれだけの激戦を潜り抜けながらも、最後まで純朴で、兵隊としては役立たず。
無邪気に白衛軍と戦っているのに、ラトビアに戻ってみて、戦友と殺し合いをしなきゃいけなくなったら唐突に転向したり(それだって仲間との殺し合いは避けられないのに)、国内の複雑な状況とかの描写は軽いし、雄弁では無い。
愛国映画なので、その辺は骨太な作品には出来ない辺りに、限界が見えるかな・・・。
ラストシーンのエモい演出は、日本映画だったら、うわぁ・・・キモって思うけと、ラトビア人的にはどうなんだろう?
まぁ、ラトビアの歴史を考えると有りなのかな・・・って思っちゃうのを考えると、なんだかんだ言っても日本は大国だよな。