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映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチのmasayaのレビュー・感想・評価

4.0
サッカーがしたい。その凄まじい渇望が画面から溢れそうで胸が熱くなる映画。男女のフィジカル差、偏見、将来の為、試合に出れないもっともらしい理由が壁となって阻むけど、情熱と負けん気で軽く蹴散らす様が心地良い。粗さもあるけど加点方式で1万点。

男子の中に混ざっても誰よりもサッカーが上手い。誰よりもサッカーが好きだ。中学でもそれは変わらないけど、男子たちはどんどん体が大きく強くなり、力負けするようになる。周りもそれは仕方ないことだよっていう。仕方ないと言われること。女子選手の第一の挫折、ターニングポイントだ。
フィジカルで勝てないなら、フィジカル以外のすべてで勝つ。その言葉に、サッカー〈フットボール〉の魅力がつまってたよ。沢山の要素との集合体。偶発性だって強い。どれか欠けることで大いに不利にはなっても、勝敗の完全な要因にはなり得ない。アップセットは常に用意されている。
時代は今よりちょっと前。サッカー好きの主人公のアイドルは最高峰の銀河系軍団で、アジア諸国の後塵を拝し、背水の陣で大陸間プレーオフに臨んでいた女子日本代表ではない、という描写があった。なでしこのちょっと前。女子のサッカー選手たちはプレーする環境さえ危うい状態だったんだよね。
周りの男子サッカー部員や監督をはじめ、男性たちの目線や考え方、当たり前のセリフとして出てくる言葉が偏見を前提としていて、いい奴らなんだけど、普通の感覚で接するだけで女子選手への障壁になってしまうの分かってしまった。15年くらい前の話とはいえ。考えさせられてしまう。

サッカー映画なので当然試合場面がアニメーションで表現されるんだけど、なんかすげーかっこよくてジーンとしてしまった。フィールド全体の俯瞰で遥か奥の点のような登場人物に一本のロングパスが通る所とか、そこから細かく繋がるパスワークとか観ててワクワクした。ボール視点とか。
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