三四郎

恋人はアンバーの三四郎のレビュー・感想・評価

恋人はアンバー(2020年製作の映画)
2.5
1990年代のアイルランドの田舎町が舞台のようだが、セックスにドラッグ(麻薬)と…、乱れに乱れていて10代の若者たちとは思えない。
ジャンル的には一応コメディ映画だから、面白おかしく誇張・強調しているのだろうが、女子とキスして、女子の胸を触り、セックスの経験がなければ「男」あるいは「異性愛者」として認めないという同級生たちは、かなり下劣に見えた。
性教育の授業で、性教育ビデオを教室で流しているが、キリスト教カトリックの国では、こんな露骨な性教育ビデオを流すのかと驚いた。映画の為に作ったビデオかもしれないが、実際に1990年代に流していそうな画質だった。

レズビアンの女子とゲイの男子が、周囲から浮かないようにお互い自分を守る為、付き合い始める。最終的にレズビアンの女子は母親にカミングアウトし、母親が教会の神父様にそのことを言い、どうもその神父様から学校中に「やはりあの娘はレズビアンだった」と噂が広まる。神父様はそんなに口が軽くていいのか?字幕版だからセリフを省略してしまったのか?よくわからないが、とんでもない神父様だと思ってしまった。
ゲイの男子は、結局、両親にカミングアウトできず、レズビアンの女子だけに「僕はゲイだ」とわかりきったことを口に出して言い、ようやく自分自身を受け入れ自分自身を認めるわけだが、映画の中では、彼はなかなか自分をゲイだと認めることができず葛藤していた。母親は彼が描いた男性器の絵や部屋に細長い実弾がいくつもあることから、どうも息子はゲイかもしれないと気づき受けとめようとしているようだった。

レズビアンの女の子は、あれほど田舎町を出てロンドンに行きたがり、お金を貯めていたにもかかわらず、最終的には、ゲイの男子にそのお金を全て渡し、自分に正直に生きろと、彼の背中を押す。なんだか、このシーンを見ていると、吉田拓郎(中島みゆき作詞作曲)の「ファイト!」を思い出してしまった。


薄情もんが田舎の町にあと足で砂ばかけるって言われてさ
出てゆくならお前の身内も住めんようにしちゃるって言われてさ
うっかり燃やしたことにしてやっぱり燃やせんかったこの切符
あんたに送るけん持っとってよ 滲んだ文字 東京ゆき

ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を
震えながらのぼってゆけ

あたし男だったらよかったわ 力ずくで男の思うままに
ならずにすんだかもしれないだけ あたし男に生まれればよかったわ

ああ 小魚たちの群れきらきらと 海の中の国境を越えてゆく
諦めという名の鎖を 身をよじってほどいてゆく


ミュンヘン大学のドイツ人の友人から、高校時代のクラスメートで数人はドラッグをやっていたと普通に言われ驚いたことがあるが、欧米の方ではドラッグ(麻薬)なんて身近にあるもので手軽に手に入るのだろう。ベルリンの街を歩いていた時も、前衛的芸術家が集まるような路地裏を日本人の先輩と歩いていると「これが大麻の匂いだよ」と言われた。しかし、私はそもそも大麻の匂いがどんな匂いかわからない為、どの匂いが大麻の匂いか判別できなかった。
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