真田ピロシキ

トレマーズ 地獄島の真田ピロシキのレビュー・感想・評価

トレマーズ 地獄島(2020年製作の映画)
3.8
30年も続く長寿シリーズトレマーズも遂に7作目。何気に全部見てると言いたいのだけれど、6作目は見るのを忘れてたので久しぶりとなる。と言っても見た感じ6作目で大きな変化が起こった訳ではなさそうなので安心。いつも通りマイケル・グロス演じるバート・ガンマーのキャラクター映画。5作目で登場した息子トラヴィスは前作では共演してたようだが本作ではメキシコにマジックマッシュルームを持ち込んで逮捕されてる設定で不登場と初期からケヴィン・ベーコンとか仲間が定着しないバートのキャラが貫かれる。その辺のバートの孤独についてはトラヴィスの母親で昔の彼女であるジャスに触れさせてて後に響く。

冒頭を見て思ったのは「あれ?キングコング?」あの島やグラボイズを狩ろうとするハンターの雰囲気が髑髏島ピーター・ジャクソン版どちらでもいいがどことなくそれっぽい。しばらくして海を隔てた隣島にもグラボイズが侵入するのだけど、成金アホハンターが襲われて逃げ込むのがトイレ。ああっ、ジュラシックパークやん。またハンターの中にはミニガン持ってる奴がいたり赤外線演出や終いにははっきり名前が口に出されるようにプレデター的展開も繰り広げられて色々なモンスター映画のオマージュを楽しむ事ができてお得感がある。

トレマーズとしてはどうかと言うとこれまで様々な進化を遂げさせてきたが今回は新種は出さず(遺伝子操作されてて細かい所では新しいけれど)昔ながらのアイツらとバートで勝負。対策も1以上に装備がないので知恵を駆使した戦いとなりシリーズファンならより楽しめる。その過程ですぐにいなくなった1、2作目の彼らを振り返られていたのが来るバートの結末を匂わせていたのかもしれない。かなり懐古的な匂いがする映画であるがシリーズを支えてきたバート・ガンマーの花道を飾っていると思えば悪くは思わない。何事もなかったかのようにマイケル・グロス出演で続編作られる可能性もなくはないがもう70歳を超えられているので流石に難しいかな。

トレマーズファンとしては楽しめる映画ですがそうでない人には到底お薦めできない。ハンターのリーダーであるビルはわざわざグラボイズを強化して狩ろうとするイカれた人物として描かれているが、冒頭の囮作戦こそ考えられているもののそれ以降は作戦も何もあったものじゃなくて目に入ったら撃ちますという脳筋ぶり。この世界はバートの伝説が知れ渡っていて戦い方も共有されているだろうに、1作目のような戦い方すら出来ていないのは歴戦のハンターとしての設定が成り立ってない。それでどうでもいい死に方するしなあ。それとクリーチャー描写はビデオ作品相当で、最後に歴代シリーズのバートの姿が流されるのだけど、30年前のグラボイズの方が見応えある。そういう訳で客観的に見るとスコアは高すぎるのですが、そこはマイケル・グロスにリスペクトを示して加点します。マイケル・グロスさんありがとう。