NHKにて放送された同名ドラマを映画用に編集した作品。『スパイの妻』と同じ手法で劇場公開された本作は、戦時中の日本で原爆開発に勤しむ学生らの青春ものとなっている。
原爆開発に限らず、何かに没頭していくことで何かを失ってしまう恐ろしさ。何も知らないまま確実に世界を変えてしまう兵器を開発してしまうことに最初はただの夢と捉えていたが、徐々に狂気に取り憑かれていく。そんな中で原爆投下後の広島を訪れ、我に返ることで開発していたものの脅威を思い知る。
反戦映画として露骨に台詞として「何のために戦争してるんだろう」と喋らせたり、何より原爆開発に囚われる狂気と戦場に向かう家族、取り残された家族のドラマと入り乱れており、どこに焦点を置いているのかも分からない。もう少し本作が目指すべきテーマを明確にしてほしかった。