【三浦春馬をしのんで】
黒崎浩監督作品。
第二次世界大戦中に京大で原爆の開発が行われていたという事実をもとにしている。
京大生として原爆開発の下支えをしている兄(柳楽優弥)を一方に、士官として従軍している弟(三浦春馬)を他方におき、さらに二人の幼なじみである若い女性(有村架純)を加えている。
この作品のポイントは、最新鋭の研究が最終的には大量破壊兵器の生産につながるという非情な事実を、若い京大生の姿を中心に、あくまで理工系研究者の立場から追求しているところだろう。安易に戦後的なヒューマニズムで割り切ることはしていない。
ただしヒロインである有村架純のセリフは、純粋に戦後的価値観によって作られている。
そこは底が浅いという見方もできるけど、無理に一つの価値観で統一しようとしていないところを評価すべきだとも言えるだろう。
若くして亡くなった三浦春馬の魅力がうかがえる作品でもある。合掌。