わっしょい

ノクターンのわっしょいのレビュー・感想・評価

ノクターン(2020年製作の映画)
3.5
ティーンエイジャー×芸術家の想像力が生む悪魔。

短い時間でしっかり面白かった。
ただ、ホラー作品というよりは人間を描く作品だったし、個人的には寧ろそれがハマった。

双子の姉妹は同じ音楽学校に通っているが、ピアノの腕や友人の多さ、彼氏がいる等、全てで姉が上。
妹は、拾った怪しげなノートで悪魔を呼び出し、姉への嫉妬を剥き出しにしていくという設定。

まず感じたのは、悪魔は本当にいたのかという疑問。
自分はいなかったんじゃないかなと思う。
悪魔のノートに描かれた絵が現実になるということだったけれど、結局それを現実にしているのは全て妹自身。
超常的なことも特に起こっておらず、本当に悪魔がいるかというとそうではなくて、妹の想像力の産物だったんじゃないかなと思う。
オレンジの光とか、絵に色が入るところとか、幻覚でもおかしくないなと思った。

思春期や芸術家の高い想像力が故に、悪魔という偶像をリアルにしてしまったと思うと、個人的にはスッキリする。
何より、そう解釈した方が、深みのある作品だなと感じられる。

ただし、この考察も、1人の鑑賞者に過ぎない自分が勝手に想像したもの。
作り手は本当に悪魔がいるものとして描いていて、これは単なる妄想考察かもしれない。
勝手にそういう多重構造を感じて、良いものを観たなあと思っています。
わっしょい

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