ノラネコの呑んで観るシネマ

天外者のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

天外者(2020年製作の映画)
3.5
幕末から明治初期に活躍した薩摩出身の志士、五代友厚の物語。
故・三浦春馬が好演するこの人物は、幕末を描いた物語にたまに脇役として出てくるくらいにしか知らなかったので、彼の人生そのものはなかなか興味深かった。
時代の転換期には、ほんとに傑物がわらわらと現れるのだな。
しかしおよそ30年に及ぶ物語を、満遍なくちょこちょこ描いているので、なんだか映画というよりもNHK大河ドラマのダイジェスト版を観ている気分になった。
低予算なのも分かりやすく、薩英戦争や上海渡航など、歴史上のお金がかかりそうなイベントは直接描写するのを避けているのが明らか。
ドラマチックになりそうな部分がすっ飛ばされてるので、「いつの間に、なぜこうなった?」という部分も多数。
それまでの過程が十分描かれてないから、クライマックスの演説も今ひとつ盛り上がらない。
偉人の伝記映画は難しいが、もう少し焦点を絞った方が良かったのではないかな。