おどろきの白鳥

天外者のおどろきの白鳥のレビュー・感想・評価

天外者(2020年製作の映画)
1.9
三浦春馬くんの熱演は好感度が高かった。
彼の役者としての良さは出ていたが…

この映画最大の問題は、「で、この主人公の五代友厚ってなにした人なの?」ってのが全く分からないw。

偉人伝って本来、「何をやった人なのか?」じゃないですか。
なのに、それがわからない。

描いているのは坂本竜馬、岩崎弥太郎(三菱創始者)、伊藤博文、グラバーとの交流。
惚れた2人の女とのなれそめ。
故郷薩摩藩の昔ながらの価値観な侍や、勤皇攘夷派の侍から命を狙われていたこと。
イギリスに留学したこと。
「大阪商法(商工)会議所」設立にあたり、初代会頭立候補の為に演説したこと。
はいはい、それは分かったよ。

で?
何を成し遂げたの?

邦画によくある「情動」「理想」「恋愛」部分しか描いてないもんで、結果が全然見えてこなかった。

ワイドショーと同じ手法で作られているんですね。

新首相でも、賞を取った科学者でも、優勝したスポーツ選手でも、経歴紹介で重要なのは、「これまでどんな事案に関わったか」「どんな実績か」なはず。
なのに、「どんな食べ物が好みか」とか「地元での人柄の評判」とかしか伝えないアレですね。

映画監督や俳優の訃報で、代表作に触れず、恋愛や醜聞だけ報じ、最後に「人気がありました」とナレーションをとってつけたような、そんな違和感にも似て。

んで、「起承転結」の「起」エピソードを細かく連続させて、「承転結」がなく、突然「エピローグ」見せて「完」。
なんやねん、これ。

情に訴えかける方が日本人には受けやすいのと、設立当時の諸施設をCGなどで作る予算がなかったという判断と推測されますが、「大阪経済の基盤を作った」ってナレーションひとつで終わらせてよかったのか、疑問が残りました。

亡くなった春馬くんの芝居が良かっただけに、全体的にがっかりでした。