ろく

豚の報いのろくのレビュー・感想・評価

豚の報い(1999年製作の映画)
3.5
「噂話をしてください。神様は噂話が聞きたくて降りてくるんです」こんな沖縄の土着性を崔洋一が語るのね。

もともと崔洋一は「犬走る」や「月はどっちに出ている」でもわかるように「日本」の中にいる「異人」を語る作家なんだ(崔自身が在日だしね)。そして今回は「沖縄」こそが異人なんだよ。

そしてこの映画、ダルなままだらだらと進む。ここは少しつまらなく感じさせるが実は崔の作戦勝ちなんではないかと思ってしまう。そう、実はこのだらだらこそ崔の語る「沖縄=異人」なんだよ。本来ダルさってのはマイナスなはずなんだけどこの映画に限ってはそこが強みになるんだ。

「ウンタマギルー」が沖縄の強さを見せるとしたら、「夏の妹」が沖縄という思想を語るとしたらこの「豚の報い」は沖縄という弱さ(ヴァルネラビリティ)表現しているんじゃないのかな。

あめくみちこがうんこを漏らしてしまうシーンですらも笑いの中になんとも言えない悲しさまで表出されてしまうんだ。「出てってよ」と変なイントネーションで言うあめくみちこにおかしさと悲しさが同居する。そしてその悲しさこそが崔が語りたかった「沖縄」なんだ。
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