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サマーフィルムにのってのピポサルのレビュー・感想・評価

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)
2.8
いやーちょっとキツかったな.........見せたい画とやりたい設定が先行しすぎていてなんというか見え透いているというか。クライマックスのアイディアが最初にあってただそれを見せたいがための90分、正直観てられなかった。
ラスト、自分たちが制作した映画の上映会をアレしてアレを始める。きっと構想はここからスタートしていて、じゃあ主人公がパッショネイトになる動機はどうするか、葛藤を生み出す仕掛けはどうするか、あ、映画が好きだから未来の映画は◯◯ということにして、あ、風刺効いてるじゃん!じゃあもう思い切って未来からやってきたことにしちゃって〜〜〜みたいな感じじゃないですかね。
まあそれはいいんだけど、ラストまでの約90分は観たことあるような感じがずっと続いて、こういうことを描きたいんじゃみたいな作り手の意志を全く感じられなかった。『映像研には手を出すな』や『アルプススタンドのはしの方』は作品を通じて描きたいものが一貫しているけど、本作は取ってつけたような設定を延々と見せられているだけ。時代劇とはこうあるべきという主人公のなかでの最終的な定義付けもよくわからなかった、というかそもそも聞き取りづらかった。
クラスの端っこでコソコソとよくわからない世界を展開しているオタクってこういう風に呼び合ってるんでしょ?みたいなあだ名は100歩譲るとして、冒頭それを連呼された時点で不安になる。設定とクライマックスが決まっただけでそのまま撮り始めたような作品を観ているとああこれはきっとカメラを止めるな的なアレかと思うけどそんなことはなかった。こういう要素入れたらみんな嬉しいんでしょみたいなのも随所にあってしんどい。

"物語"の価値が存続される可能性が生じたこと、そしてその喜びをどう表現するかにもっとカロリーを使っていればよかったのに......伊東万理華ちゃんのキャラクター像は過剰だし、凛太郎の思考に奥行きがなくて最後は急にどうしちゃったのって感じだし。しっくりこず残念でした。
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