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猿の惑星/キングダムのピポサルのレビュー・感想・評価

猿の惑星/キングダム(2024年製作の映画)
4.7
誰もが理想と信じて疑わない共存というものを再検討する本作。共存することが最適解なんだっけ、というか共存ってなに?と、前シーザー3部作に対するアンチテーゼのようにも見える。
ノヴァが合流した夜、焚き火越しのノアはめちゃくちゃ猿の惑星っぽい威圧的な表情で警戒心をノヴァに向けていたが、シーザーの教えである思いやりや親切心をラカから学んだうえで、今度は望遠鏡を挟んでノヴァと相対するときは、ここから共存の世界に向かっていく期待を抱く優しさがあった。しかし、電気の槍を手にするノアや猿にピストルを向けるノヴァなど、ところどころ不穏な瞬間があって、観ているこちらはまったく安心できない。

再建が進むイーグル村に訪れた、おそらく指示を受けているノヴァは事を起こさずその場から離れたわけだけど、猿と人間それぞれが互いを認め、存在を許容することがこのあとマクロに発展するであろう対立にどう影響するか見ものだなと思った。
前3部作のファンからするとシーザーのようなカリスマ性を徐々に獲得していくノアの姿はマジで胸熱。世界観もいいし、猿だからこそのアクションも見応えがある。幼馴染み3人が卵を取りに行く序盤はかなり惹きつけられた。終盤はもう少し勢いがあってもよかったし、前3部作を観ていないと物足りなさを感じる部分はあると思うけど、異なる存在の共存が本当に実現可能か、共存に新しい形はあるのかなどを問うていく新シリーズの1作目にしてはかなり上出来だと思う。ここでやっとこういうの映すんだみたいな意外性の演出も上手い。客入りは微妙だけど超よかった。
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