Inagaquilala

ミッドナイト・スカイのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

ミッドナイト・スカイ(2020年製作の映画)
4.2
宇宙を舞台にした大活劇をイメージしているのか、この作品のネットでの評判はあまり芳しいものではない。しかし、自分としては、これは今年観た作品のなかでは、1、2を争う傑作だと思っている。主人公は絶滅する地球に1人残ったジョージ・クルーニー扮する老科学者。彼は、最後の地球脱出船が飛び立った後も、北極にある天文台に住み、人類が生息可能である木星の衛星から帰還する宇宙船と連絡を取ろうとしている。地球が人類の住めない星となっていることを知らない宇宙船のクルーも、途絶えた連絡をなんとか回復しようとしている。

作品ではこの2つの場面が交互に描かれていく。天文台には、実はもう1人、少女が取り残されており、この存在が作品のキーポイントにもなっていく。自分としては、彼女は主人公が見た幻影だと理解しているが、捉え方により、物語の流れも変わってくるかもしれない。宇宙船の場面では、彼らクルーが変わり果てた地球を視認したときの場面が胸を打つ。ブラッド・ピットの「アド・アストラ」(2019年)がそうであったように、その作品も深淵なテーマを含んだものであることは確かだ。
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