さいらー

オールドのさいらーのレビュー・感想・評価

オールド(2021年製作の映画)
4.4
これぞM・ナイト・シャマラン!という、彼の持ち味を存分に味わえるシチュエーションスリラーの怪作。

バカンスでプライベートビーチに訪れた複数の家族。しかしそこは、30分で1年が経過する奇妙な場所だった。
急速に老いる大人と急成長する子供、一瞬で塞がる傷…。急速に時間が進む事によって起こる様々な問題に直面しながら、ビーチからの脱出を目指す、という話。


終盤にはシャマランらしい「そうきたか!」というオチもしっかりとついているが、そこはなんというかオマケ的。よくよく考えるとオチとして説明はついているけれど、世界の神秘は神秘のまま。そこがイイ。
でも実は重要なのはそこではなくて、真に重要なのは映画の中で主人公たちが最終的に得る価値観。
本作で言えば一日で6歳から50代になった少年がそのたった一日の人生の中で気付いた「価値ある人生の生き方」である。


成長するという事、老いるという事、そうして生きていくという事、改めてそれを考えさせられるような、シチュエーションや個々のシーンはシャマラン映画らしい展開の連続なのにシャマラン映画では今までにない哲学的な問いを学ぶ珍しい一作でもあった。