想像よりもずっと静謐な物語だった。
予告ではいろんな物語が想像できたから、この物語がどんな性質を持ったものなのか捉えることができなかったけど、少しずつ、ゆっくりと、その正体が見えて来る。
この男性が抱えているものの輪郭が照らされていく。
そして、いったいどっちだったんだろう?というところに行き着く。
明確な答えはないし、人それぞれに解釈があると思うけど、わたしはずっと持ち続けてたんじゃないかなあって思った。きっと一瞬、なくす夢を見たような、それだけで。
そういえば彼は最初、壁に頭を打ちつけてたなあって思い出した。
忘れたかったんだな、忘れたくなかったんだな。
きっと林檎だけが、彼の中に思い出としてずっと留まって、ずっと寄り添ってくれるだろう。