ジャイロ

脱出のジャイロのレビュー・感想・評価

脱出(1944年製作の映画)
4.1
スモーキーで官能的なうなり声、又は心地良い嗄れ声の

「マッチある?」

でいきなり入ってきた!!!

ハワード・ホークスの秘蔵っ子、ローレン・バコール。この映画がデビュー作なんですね。そして後に結婚するハンフリー・ボガートと共演し、親密な間柄になった作品でもある。

ローレン・バコールの歌声がなんていうかそのう…独特?マレーネ・ディートリヒの歌声のインパクトは凄かったけど、このローレン・バコールもなかなかです。最初、男の人の吹き替えかと思ったほどです。

(え?これ吹き替えなのもしかして!?)


カリブ海はフランス領マルチニック島

それは悪名高い悪魔島の時代

不穏な空気を孕んだ夜霧に霞む時代でもある

原作はヘミングウェイの「To Have and Have Not」

実にハードボイルド

後に『俺たちは天使じゃない』(1955)で悪魔島から脱獄する囚人の一人を演じたハンフリー・ボガートが主演したってのも興味深い

とにかく変な人たちばかり出てくる

その絶妙な掛け合い

ボトルを押し付け合うシーン、好きだなぁ

時折弱さを見せつつも、したたかな女を演じるローレン・バコール。強がるし、妬いたりもするし、その恋の駆け引きは観ていてなんとも楽しい。とにかくローレン・バコールとボギーの会話を楽しむ。そんな映画。ラストも思わずニヤリとしてしまうのは、さすがハワード・ホークス監督。なんとも形容し難い魅力がある映画でした。面白かったです。