アナ

あの夏のルカのアナのレビュー・感想・評価

あの夏のルカ(2021年製作の映画)
4.2
ルカー!!!すごく良かった…

最高の夏休みムービー!
夜のボートから流れるO mio babbino caroがとても叙情的….既視感あると思ったら、やはり監督はLuna(月と少年)の人なのね。

海辺のイタリアで繰り広げる一夏の出来事。北イタリアの田舎というとCall me by your nameを思い出す。全編にわたってイタリアの音楽とイタリア語が散りばめられてとても素敵な雰囲気。たしかによく考えたらイタリアが舞台のディズニー作品ってあんまりないのね。直接的に言及されてなかったけど唯一がピノキオで、劇中に少し出てきましたね。

物語は、陸に憧れる「シーモンスター」の男の子、ルカが主人公。序盤こそリトルマーメイドを彷彿とさせるような、人間のアイテムをこっそり拾ったり親と喧嘩したり…という流れだが、面白いのは彼の種族が両生類だということ。そこで、謎の少年アルベルトに出会う。
怖がりだが好奇心旺盛なルカと、怖いもの知らずのアルベルトは次第に兄弟のように親友になっていく。ここで二人がさらなる自由へと向かうに必要な行動の根拠になるものがイタリアといえば!のベスパというのもとても良い。
そして馬鹿にされながらも孤独に戦うジュリアンと出会い、3人でレースの優勝目指して特訓の日々が始まる。途中のやりとりのジュリアンの背景に、「ローマの休日」と思われるポスターが!ペック(グレゴリーペック)とヘップバーン(オードリーヘップバーン)って書いてありましたね!イタリア語だとローマンホリデーではなくVacanze Romaneなのね…古き良きイタリア舞台映画へのリスペクトも素敵。

父ちゃん母ちゃんも陸に参戦してきて、話は盛り上がっていく一方で、次第にアルベルトの子供っぽさやルカに対する独占欲が出てきて、チームは崩壊へ。この辺りの流れも自然でめちゃくちゃうまくて面白い。
子供だからこそできるストーリーライン。

ムッとしたアルベルトは自分の正体を明かしてしまうが、ルカが咄嗟に人間のふりをして怯えてたのもあぁ〜〜となってしまった。

ジュリアンのお父さんがアルベルトのことをかっていたこともすごく良き。お父さんに捨てられたアルベルトは理解者を得たのだ。

ラストはハッピーエンドに終わって良かった。映画はこうでなきゃ!一夏の経験を超えて、アルベルトは大人になった。最後泣いちゃった。雨に濡れて人間からシーモンスターへ自然に変わる演出、シーモンスターの姿になったルカが新しい世界である壮大な景色を汽車から眺めるっていうのも最高に綺麗….!!
おばあちゃんも遊び心があって最高だった!
あとネコちゃん!「わいは気づいとるで….」って無言の圧をかけてくるのすごく可愛かった!

映像美もありこれは劇場作品だよなぁ。配信公開だったのは作り手としてはなんともだったのだろうな。
アナ

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