ふじこ

あの夏のルカのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

あの夏のルカ(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

あ~爽やか。どんな話か確認せずに観たから、魚人か~!って新鮮だったし何より舞台のイタリアの景色が美しすぎてたまらんかった。

ベスパで旅をする事に憧れる魚人の少年2人と、毎年町で開催される子供トライアスロンレースで優勝して意地悪で鼻持ちならないヤツの鼻を明かしてやろうとする女の子のボーイ・ミーツ・ガールもの。

主人公ルカと彼を丘に誘う友人アルベルト、丘に上がって出会う少女ジュリアとその父マッシモ。
自分の知らない事をたくさん知っているジュリアと仲良くしたいルカと、友人を奪われたような気持ちになって面白くないアルベルト、そして彼の事情、”シーモンスター”と呼ばれる魚人を捕まえる事を目標にしているマッシモ。
それぞれの関係性が過不足なく描かれていて、特にアルベルトの気持ちに寄り添って観ちゃったなあ。

ルカの世界がどんどん開かれていって、今まで自分だけが彼を導いていたような気持ちでいたのに、まるで彼を置いていってしまった父親と重ねるみたいに離れていくような気がして複雑な気持ちだったろうなあ。
彼の父親の事情が明かされるのは結構後の方で、ただの”友達取られちゃう”ってだけじゃなかったのが悲しいし、自分だけ魚人だったのがバレてしまった時にルカに突き放された時は悲しかったろうな~って。
でも彼はもの凄くいい子なので、ルカの”学校に行きたい!”って気持ちを尊重して、レースで勝った賞金で購入したベスパを手放しルカを送り出す。

そんな彼の支えとなるのが、無口だけどパスタ作りが上手で、生まれついての隻腕だけれど器用に魚を捕るジュリアの父マッシモさん。
最初は巨躯で魚人の討伐を狙う彼に恐怖していたものの、実は優しくてこっそりチャーミングなところに段々打ち解けていく。魚人だとバレてしまった時も何も言わずに受け入れてくれる。
まだ14歳なのに失ってしまった自分への愛情を確かめるように成長していくアルベルトの事ばっかり観てた。主人公はルカなんだけども。

どこかジブリ味のある映画で、爽やかで良かったな~。ノルタルジーとも違うけどなんだか懐かしいような、自分は死んだらこういうところに行く、と思うような素敵な町が好きだった。
ふじこ

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