ドゥン

映画大好きポンポさんのドゥンのレビュー・感想・評価

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)
4.3
好きな映画だ。ビジネスやプライベートにも影響を与えてくれている作品だ。「BLUE GIANT」を観た後に近いものがある。走りださずにはいられない。何かをしようとしなければならない。今この一瞬を大切にそしてがむしゃらに生きたい欲に駆られる。
 
 すべての映画好きに送ったラブレターのような映画だと思った。最近、こういう映画に弱い。GOZILLA-1.0みたいに映画としての「絵」を最高に楽しむ映画も好きだが「ポンポさん」のように「物語」で突き刺してくる作品がとても好きだ。先日鑑賞した、「MONDAYS」もそうだ。タイムループはあくまで手段の一つであり、「物語」が映画の最大の目的になっている。
 
 キャラクターで一番感情移入したのは、銀行マンのアランだ。そつない生き方、誰にも何もとがめられない生き方をしてきた彼はジーンをみて「本気」を知る。本気で何かを伝えることが人の心を突き動かすわけではないが、自分が向き合っているものに本気になることで見える景色があることを教えてもらった。岡本太郎の「大半に嫌われても、純粋さを貫けば逆に伝わってほしい人には伝わる。」という言葉を思い出した。アランは映画のために、ジーンもポンポさんのために、伝えたい人、ものの焦点をずらさなかったからこそ融資が決まったし、多くの人に絶賛された。そういう人生のバイブル的な要素もこの映画にはある。
 
 ジーンの言葉には嘘がない。(というか、映画に出てくる人みんな嘘がない。)人は言葉以外にも目、表情、体の動き、声の抑揚など様々な面からその人の言葉の信ぴょう性を探る。だからこそ「言霊」という言葉がある。本気で思っていないことを熱っぽくしゃべっても意味がない。今までのアランがそうで、ジーンはずっと本気だった。アランとジーンの場所が日向と日陰になってコントラストになるような演出があるが、それまでの2人の決定的な違いはそこなのだと思う。

 どんなに素晴らしい映画の賞をとっても、ポンポさんは今日もちょいエロB級アクション映画をとっているんだなぁと思うと、「好き」って最強だし、無敵だなと痛感する。
 目的を1つにフォーカスすること。自分の言葉に嘘をつかず、言霊を発すること。そうすれば、ポンポさんやジーンみたいな生き方ができるのかもしれない。
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