Violet

弱くて強い女たちのVioletのレビュー・感想・評価

弱くて強い女たち(2020年製作の映画)
4.1
全くのノーマークだった本作ですが信頼のおけるフォロワー様のとんちゃんさんに教えていただき鑑賞しました!
とてもとてもとても良い映画でした😭❤️
Netflix加入しておられる方は是非!

▼あらすじ
長い間音信不通となっている夫•伯昌に代わり、女手ひとつで長女の阿青、次女の阿瑜、末っ子の佳佳という3人の娘を育ててきた妻•秀英。しかし秀英の70歳の誕生日の日、伯昌は帰ってきた。遺体となって。慌ただしく伯昌の葬儀の準備を進める中、父親が不在の中で生活してきた一家の女性たちが抱える彼に対する愛情、憎しみ、憧憬が丁寧に描かれ、その過程の中で絡まっていた糸がゆっくりと解けていく。





✂︎-----以下ネタバレです------



















本作の秀悦な点としては、直接的に台詞や映像で真実を語らずに間接的に理解させる『魅せ方』のうまさだと思う。特に父•伯昌については想像をめぐらせることができてとても楽しかった。

文句を言いたくてももうすでにこの世にいない伯昌。愛人•美林の存在。受け入れ難い真実と現実にゆっくりと向き合っていく秀英の姿からは台湾女性の芯の強さを感じた。

許承傑監督は、本作の重要なテーマは「時間をかけて融和を図っていくその過程」であると語っている。恨みや葛藤を抱え、傷つきながらも、少しずつ折り合いをつけ歩み寄ろうとする。秀英が、伯昌の最期を看取った美林に正妻としての喪主の座を譲り、その後伯昌と一緒にタクシーで歌を歌う素晴らしいラストシーンでは、ようやく呪縛から解き放たれたような彼女の表情に涙が止まらなかった。

▼ 父•伯昌について
・文才があり字も上手。
かつて秀英に送ったラブレターを読んで、孫の小澄が「字も綺麗だし文も上手」だと褒めるシーンがある。また、ホステスたちは伯昌によくラブレターの代筆をしてもらったと話していた。
・芸術に興味があった。
伯昌がよくお土産として買ってきた明星咖啡館(アストリアカフェ)の俄羅斯軟糖(ロシアンマシュマロ)。ここはかつて多くの作家が執筆活動を行った場所であり、台湾文学のランドマークとも言われている。
・警察を辞めた理由は他にある?
警察を辞めた理由は「給料が安いから」と語られるが、実は文章を書くなどといった芸術の道を考えていたと推測される。夢を追い束縛を嫌う性格はやはり長女の阿青に遺伝しているようだ。夢(芸術)と現実(家庭)の狭間で揺れていた伯昌の姿が想像できる。

▼『孤味』とは
孤味とは台南の言葉で「ひとつの料理を精魂込めて作る」といった意味があるらしい。本作では食事のシーンが多くこれがまた全部美味しそうなので、夜中に見ていて食欲をそそられて大変だった🤣

▼小ネタ
本作の英題は「Little Big Women」で、「Little Women(若草物語)」を意識した命題とのこと。言われてみるとアジア版若草物語という感じがする😳

▼ 秀英唱的歌
・青春的味道又酸又甜
・再会了,心爱的无缘的人

▼我才知道!
閩南語って本当に全然違うのね!
中国で話される北京語と台湾で話される北京語が異なるレベルの違いかと思っていたら大間違い!!!
拼音(発音)が全然違くて、はじめお母さんが喋り始めた時「!?!?」状態。
对不起とかも「duìbuqǐ」じゃなくて「tùi-put-khí」だし、好も「hǎo」じゃなくて「hó」。
🤯🤯🤯🤯🤯
全く聞き取れないし、字幕は簡体字なくて繁体字のみだし、たぶんちょいちょい台詞と字幕違うしでめちゃくちゃ頭フル回転させて見てた....
せっかくの良作をあまりにも勉強のために鑑賞してる感じになってしまったので2回見ました🤤笑
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